上記の研究にとると、認知症で補聴器を毎日数時間以上安定して装用できた方には、
『会話や笑顔が増えた』『テレビに相槌をうちながら見るようになった』『カラオケを歌うようになった』
『怒鳴り声ではなさなくてよくなったので、喧嘩が減った』
『昼間うとうとすることが減ったために夜間不穏が減った』
『耳鳴り幻聴が減った』など補聴器装用による効果がありました。
しかし、新規購入半年後に毎日数時間以上安定して使用できている方は、
全員が家族による装用確認、電池確認といったサポートがある方々でした。
毎日装用していても、独居や施設入居など家族のサポートが得にくい状況の方は、
『電池が切れたままでも気づかない』
『耳垢による温厚つまりに気づかない』
『耳栓がうなく挿入できない』など装用状況が不安定でした。このため、認知症患者の補聴器装用には
家族のサポートが重要だと考えられます。
また、認知所言う発症以前より補聴器を適正に使用できていた方は、その後も大きな問題なく、
スムーズに使用できました。
認知症患者は最近の出来事の記憶や新しく物事を覚えるのが苦手になりますが、
以前からの習慣は比較的長時間にわたって保たれることが多いので、難聴のある高齢者では認知機能低下前から
補聴器装用が望ましいでしょう。
出典:杉浦彩子、内田育恵、安江穂、伊藤恵里奈、中島務(2015)
『認知機能障害のある難聴高齢者に対する補聴器適合』
難聴は認知症発症の危険因子の一つでもあるので、補聴器装用で難聴を補うことで認知症の発症を
抑制する効果も考えられます。
この文献を拝見させていただいたとき、独居や施設入居中の方でも、
サポートできる可能性はあると感じました。
例えば、独居の方であれば、ヘルパーさんは適宜こられていると思います。
その方に、電池があるのかないのかをチェックしていただく、耳垢詰まりがないのかチェックしていただく
このことをお手間になるかもしれませんが、チェックしていただればと思いますし、
施設に入居されている方も、朝補聴器を装用するときに電池のチェック、耳垢詰まりのチェックをしていただく
ということをすれば、同じようにできるのではと思いました。
施設の方の補聴器の管理に関して、また訪問介護員を派遣されている会社でお困りのことがございましたら、
お手伝いさせていただけることがございましたら、お手伝いさせていただき、
提案できることがございましたら、提案させていただきます。ご相談ください。